A Requiem in Scarlet

 一面に広がる
 汚れなき白銀の世界
 どす黒い深紅の薔薇

 その深紅は
 この手より滴り落ちている

 これは一体誰の薔薇
 俺の口内は鉄の味
 俺の薔薇か
 いや
 これは 目の前で眠る君の薔薇
 君の周りの世界には
 艶やかな深紅の薔薇が咲き乱れている

 嗚呼
 これはまるで夢物語
 麗しき君が
 君の好きな深紅に抱かれ
 安らかに眠る
 君の白装束にも
 薔薇が咲く

 足下で
 冷ややかな月光を浴び
 黒光りする小さき死神
 お前は誰に
 その先端を向けた

 じわじわと広がる
 深紅の海

 君の胸には
 一つの風穴
 そして
 君の隣で横になる俺の腹にも

 麗しき君に贈ろう
 最期の歌を
 
 冷たい君の手を握る
 薄れゆく意識の中
 深紅の薔薇に包まれて
 さあ
 君に贈ろう
 鎮魂(  たましずめ)の歌を


                        2007.9.21. 制作


 少々オカルトチックでしょうか。そんなつもりで作ったわけではないのです。
 もう少し綺麗な感じを出したかったのですが…だめでしょうか?
 あ、ちなみに、この題名はS・Hの第1話からいただきました(笑



                                                                      photograph by m-style