絶望

 瞬間
 街は消えた
 光に包まれ
 闇に飲まれた

 あるのは
 この世のものとは思えない光景
 廃墟と化した街
 化け物と化した人間

 何が起こったかわからない
 わからないから
 歩く
 見渡す

 ここはどこだ
 あれはなんだ
 あれは人間か
 いや
 数秒前は人間だったモノ
 皮が爛れ
 硝子の欠片が輪郭をかたどる

 皮を地面につかせまいと歩く
 皮が剥がれていることに気付いていない
 身体が麻痺している

 化け物が手を差し伸べる
 脚を掴む
 のしかかる

 ここはどこだ
 これは夢か
 夢なら早く覚めろ
 こんなところにいたくない!

 助けて助けてタスケテ

 何だこの黒い液体
 手に取る
 重油?
 なぜそんなもの
 天を仰ぐ
 そこには見たくもない黒い雲
 これは雨?
 雨なんだ

 化け物が黒くなってゆく
 廃墟が黒くなってゆく

 助けて
 助けて
 助けて
 タスケテ!

 早くここから出して!
 早くこのセカイを終わらせて!


                        2007.8.4. 制作


 戦争のことは全くわかりません、私には。
 ですからこれは、想像と経験談によるものです。
 毎年ドラマなどで伝えられていますが、それでも、戦争をしたいと思う輩がいるのですよね。
 これでは、あの多くの命は犬死と同じだと思えてなりません。
 なぜ?どうして? 理解できないことばかりです。



                                                                      photograph by Lovepop