Night

 星の見えない夜
 灰色の都会が生み出す夜

 見えるのは
 センスの悪いネオンサイン

 闇といえば闇かもしれない
 ここに
 飛行機から見たような闇はない
 吸い込まれるような真の闇はない

 あるのは
 虚しさだけ
 チープな闇だけ

 こんなに
 人工の光を集めて
 何が楽しい?
 宇宙の彼方で輝く星々とは
 雲泥の差

 星に匹敵する光など
 作れるはずがないのに
 藻掻いて足掻いて
 光を作り続ける人々

 それは
 惑星であるこの星を恒星へと変えゆく魔術

 やがて
 置物としても役に立たなくなる光を見つめて

 細い衛星が冷ややかに見下ろす
 地球の夜を憂う


                        2007.8.3. 制作


 小さい頃、宇宙から見た日本の夜の写真を見て衝撃を受けました。
 夜景でも、綺麗に思えないものが増えているこの世の中…
 人間は何を求めているのでしょうか。



                                                                      photograph by CELESTE BLUE