太陽

 
泣きたくなった
 
 なぜだかわからないが
 泣きたくなった

 久しぶりに独りで帰路についているからか
 目の前を中の良い恋人たちがゆっくり歩いているからか
 前髪が目に入るほど長くなったからか

 さほど近くない樹から
 華麗に花びらが飛んできているからか

 さほど強くない風に吹かれ
 華麗に舞い散る花びらの中を歩いたからか

 なぜだかわからない

 (そら)には
 春の夕暮れの太陽が
 優しく輝いている

 眩しくはないのに
 その光は目にしみる

 自分にはその光を浴びる資格なんてない
 そう感じるほどその光は優しすぎる

 涙腺を
 感情を
 刺激するのは
 この太陽かもしれない

 (くう)を舞い踊る
 桜の花びらのように
 綺麗でそして儚い

 涙を流したくなった


                        2007.4.12. 制作


 本当に舞い散る花びらの中を歩きたいものです。
 ほんの少し散っているところは歩いたことがありますけどね…(笑
 この写真、目に痛いですか?
 



                                                                      photograph by m-style