降る雨 〜遠回りしたい朝に

 春雨
 −それは新芽の出る頃、静かに降る
  細かい春の雨−

 花の香に包まれて
 まだ三月も始まったばかりのさわやかな朝
 今日は過ごしやすいと思っていた
 けれどぱらぱら春の雨
 持ってきた傘もそのままに
 しとしと濡れつつ歩く歩く
 君のいる場所へ

 このまま雨が強くなれば
 僕はさらに濡れるだろ
 もっと強く
 もっと激しくなればいい

 目的地に着けば
 君は驚き心配してくれるだろうから
 水も滴るいい男だと
 冗談を言って笑っていられるだろうから


 そうすれば
 その言葉を聴くのが遅れるだろう
 少しでも 準備の時間がほしいから
 少しでも 君との時間がほしいから

 なのになのに それなのに
 春の雨はやみそうで
 
 一歩一歩 また一歩
 君との別れが
 近づいてくる

 春雨
 −それは別れの多い頃、静かに慰めるように降る
  細かい優しい春の雨−


                        2007.3.24. 制作


 完成したのは三月の終わりですね…(苦笑
 時期がずれている…
 まぁ、壁紙と作った季節がずれているような作品もありますし…
 良しとしましょう(殴



                                                                      photograph by ぐらん・ふくや・かふぇ