束の間

 ふっと顔を上げた
 問題に詰まったわけではない
 ただ何かの気配を感じただけ

 何より先に目に飛び込んだのは
 黒板の前に座る大人でもなく
 自分の前に座る子供でもなく
 ただ窓の外を舞う雪だけ

 しばらくその姿に目を奪われ
 そして気が付く 今の状況
 まわりは問題を必死に解決しようとしている
 この雪は全て自分だけのもの

 吹雪いたり
 優雅に舞ったり

 あの小さな部屋で
 あの小さな自分だけが気付いた宝物


 息を呑む音 囁く声
 それらとともに
 小さな自分の優越感は壊れゆく

 ふっと
 悔し笑いに似たほほ笑みを口元に
 一瞬の優越感をこの胸に
 目の前の問題に視線を落とした


                        2009.1.18. 制作


 ちょうどこの日は大学センター試験2日目だったようで(苦笑
 一応言っておくと、これは別に試験でなくても良いですよ。試験の時にそんな余裕なかったですから、私は。
 けれど、こういうことは幼心には悔しいですよね。


                                                              photograph by Lovepop