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 深く重なった白い雪を
 汚す
 この一歩で

 なぜ
 綺麗な白のまま終われないのだろう

 いつのまにか
 混ざってしまう黒

 けれどその黒は 汚れは
 生きている証

 いつのまにか
 幸福に混ざっては消すことができる
 悲しみのように

 生まれたままの白を保つ
 それは不可能なこと

 いつのまにか
 踏みならされてできた
 小道のように

 生きている間に黒が混ざる
 それは自然なこと

 その黒は
 生きてきた軌跡

 生かされてきた奇跡

 消せない軌跡
 消してはいけない軌跡

 怖れる必要はない
 悔いる必要はない
 むしろ
 誇りに思うべきなのだから


 また雪が舞いそうな空を見上げて
 傘をさす
 汚した場所に


                        2008.11.28. 制作


 背景は白いままですが(笑
 以前に、あんな白い聖地を汚すな、という感じの詩を書きましたが…矛盾していますね(汗 


                                                              photograph by NOION