特別な時間

 普段は強気で
 人に頼ろうとしない

 それがふとした瞬間
 消えてしまいそうなぐらい
 儚くなることがある

 話したくないのなら
 無理に聞きたくはない

 だから無理にでも
 この腕の中に閉じ込めて
 その名を呼んで
 唇を合わせる

 堅くなっていたその身も
 嫌がっていたその顔も
 湿ったこの肩が全てを示す

 そしてそのまま
 何分も 何十分も

 何か話す訳でもなく
 何か考える訳でもない

 ただ何となく
 この手で
 その柔らかな髪を梳くのみ

 この胸をその拳が軽く叩くまで
 何事もなかったように普段の時間に戻るまで

 緩やかに流れる
 二人だけの時間

 これが
 いつのまにか作られた
 二人だけの決まり


                        2008.10.25. 制作


 特に深い意味はありません(笑
 こんな関係があればよいな、と。あるんですかね?(誰に聞いてる) 


                                                              photograph by m-style