灯りのまわりを盛んに飛び回り
 自らの躰を灯に焼かれる

 一体何を求めて彷徨う

 羽を溶かされたイカロスのように
 あっけなく地に落ちる
 形が判別できなくなったモノ

 一体何を求めて彷徨う

 地に落とされたイカロスのように
 生きようと水中でもがく
 憐れで卑しいモノ

 そこまでして
 一体何を求める

 投獄されたイカロスのように
 父親の忠告も聞けないほど
 生きたかったのか

 それとも
 死ぬほど
 その灯を得たかったのか

 何にせよ
 人間には
 到底踏み込めない境地

 馬鹿らしい
 そう思っても
 目を逸らせず
 汚いものを見るような目を向け
 耐え兼ねて
 それにピンを突き刺す

 嫌な音を発し
 数秒反射を起こして
 すぐに事切れる

 それを仲間の横に追いやり
 暫く俯いて塩水を増やす

 そしてまた
 断末魔を待つだけ

 生死の意味を問う
 断末魔を


                        2008.10.10. 制作


 少々残酷ではありますが… 一度「蛾」で詩を書いてみたかったんです。
 その結果がこれです(苦笑
 なんにしても、人間には理解できないことなのでしょうかね。
 まぁ、科学的・生物的には何とでもいえるのでしょうが。 


                                                              photograph by NOION