かえる空
たんぽぽの綿毛の群れを
昨日置き忘れた傘で撫でる
切り離された綿毛が飛び立つ
やけに
月が白く輝く
まだ青い夕暮れ
迷子になった幼子のように
泣き続けるわけではなく
見知らぬ地でも
小さな楽しみ見つけ
道草してゆく
ぶらぶらと
ただ ぶらぶらと
行く当てはある
それなのに
それがないかのように
彷徨うように 歩きゆく
ふらふらと
行き着いた原っぱ
小石に躓き一回転
眼前に拡がる夕焼けに
映える黄色の細い月
届くはずもないその星に
痛いぐらいに手を伸ばす
空を掴む
何だか可笑しくて
何だか哀しくて
大きな声でひと笑い
必死に堪えて一滴
さらさらと
心地よい風に撫でられる
風を感じて目を瞑り
大地の温もりに包まれる
そして数分後 走り出す
元居たバショに帰るため
たまにこうして
童心に返る
ふっきるために
かえらなくてはならない
ほら かえろう
2008.5.31. 制作
童心に返ってみた方が良い時ってありますよね。自分でも、知人でも。
それを拒んで、否定して、後悔するということもありますよね。
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