懺悔

 いつからか  
 ニュースに涙するようになっていた
 
 いつのまにか 
 耐え切れずに逃げ出していた 

 銃弾のような豪雨の中
 濡れていることさえわからないくらい
 ずぶ濡れになりたい

 自分の小さな手を見て
 自分の無力さを味わう

 何で何もできないのだろう
 何で何にも
 できない気がするのだろう

 この手に何ができる
 世界を救えるわけなどなくて
 だからといって
 一人の命を救えるわけでも
 友人の手を握れるわけでもない

 こんな無力で
 こんなに愚かな手

 頬を伝う液体は
 雨なのか
 涙なのか

 胸を刺す感情は
 悲しさなのか
 悔しさなのか
 情けなさなのか

 逃げなのか

 天を仰いで
 跪き
 両手を差し出し
 神に懺悔しよう      

 涙がこの罪を覆い隠してくれるのなら
 いくらでも泣こう

 けれどそれは気休め
 気休めにもならない愚行


 気がつけば 雨脚が弱くなっていた
 びしょ濡れなのに
 手のひらで確かめる 

 そう
 いつかは 雨がやむ時が来る
 いつかは 空が晴れる時が来る
 
 それをただ
 立ち尽くして待っているわけにはいかない
 何もできないのは気のせい
 できることを見つけるには
 何かをやらなくてはいけない
 生半可な決意ではいけない

 この小さな手でも
 何かを掴める時が来る



 いつのまにか
 太陽の下を歩いていた

 いつからか
 精一杯生きるようになっていた

 手のひらに
 温かさを感じるようになっていた


                        2008.3.28. 制作


 なんかこう…パンチが弱いですよね、これは。
 グッとくるものが作りたいです…(遠い目


                                                               photograph by CELESTE BLUE