不 香花
裸足には辛い
氷のような床
真夜中なのに
白光を反射する廊下
凍りそうな空気
窓の外を舞う白
その明かりを虚ろに眺めて
その儚き一片を想う
凍てついた世界でしか
存在できない
温かな世界では
存在できない
一瞬で消えてしまう
始めから存在しなかったように
暖かな季節に焦がれても
見ることさえ叶わない
どんなに
舞い踊る姿が似ていようと
桜にはなれない
雪
所詮
雪の異称は
桜の模倣
まるであなたのよう
桜の代わりにはなれない
桜のコピー
彼女は桜を捜している
雪ではない桜を
私は待ちます
あなたが
雪の儚さに気付くまで
桜になれないことに気付くまで
私は待ちます
この雪を見つめながら
2008.2.26. 制作
少々残酷ですよね、この人。
まぁ、そんな女性、いますよね?
photograph by NOION