sickroom
彼女は
とてもきれいに笑う少女だった
まるで花のように
彼女は外に出られなくとも
まるで
太陽の光をいっぱいに受ける
小さな可愛らしい
花のようだった
僕は彼女の担当ではなかったけど
僕がその部屋に入ると
可愛らしい笑顔を向けてくれた
自分の運命を呪うこともできたのに
彼女は弱音を吐かなかった
そんな彼女に
何度勇気をもらったか
よく彼女は
窓の外を眺めていた
ある時言ったんだ
死んだら
あの花のようになりたいと
そんなこと考えてほしくなかった
どんなに重い病気でも
死なんて考えてほしくなかった
長いこと
他の患者さんに付きっきりで
疲労困憊した僕
久しぶりに
彼女の笑顔に癒されようと思った
入り口に名札はなく
白さが妙に虚しい
彼女の部屋
退院したなんて聞いてない
退院できた
はずがない
誰かに聞く訳でもなく
帰り道
輝かしく咲き誇る
小さくて可愛らしい花を
見つけたんだ
まるで少女のような花を
2008.2.15. 制作
お気づきの方もいらっしゃるとは思いますが、これは2007年の作品の中にある『SICKROOM』の番外編みたいなものです。
ここでは、少女となっていますが、そこまで小さな少女ではないですよ。
そうすると、マセガキになってしまうので(苦笑
photograph by NOION