夜窓(よまど)(の向こう)

 闇に目を凝らす
 外に何があろうと関係ない
 俺が見ているのは
 窓の向こう側

 この部屋に二人きり
 恋人なんかじゃないから
 ゆっくり直接
 見つめることは不可能だ

 だからこそ
 この窓の向こうの貴女を見つめる
 窓に映る貴女に見惚れる
 貴女の姿を
 目に焼き付けたい
 残された時間は短いから
 少しでも長く
 一瞬でも長く
 貴女を...

 彼女は
 まだ帰らないのかと聞き
 俺は
 まだやり残しがあると答える
 何もせずに
 ただ闇を見つめる俺に
 不審な目を向けるわけでもなく
 ただ尋ねる

 たまに顔を上げ
 憂え顔で外を見つめる彼女
 窓に近い俺の顔は
 影としか映らない
 彼女と目が合わないことを良いことに
 そのまま見つめる
 憂え顔でも綺麗で
 それでもどこか
 切なそうで
 哀しそうで
 そんな顔をさせる奴を
 排除したいとさえ思う

 どんなに
 どんなに俺が
 彼女を愛しく思って見つめても
 彼女の姿に見惚れても
 彼女には届かない
 届かぬ想い

 すると聞かれる
 大丈夫かと
 辛いなら早く休んだほうが良いと
 嗚呼
 俺は今
 眉間に皺を寄せていたのだろう
 彼女に心配されたことが嬉しくて
 上の空で
 大丈夫だと答える

 そして気が付く
 彼女には
 俺の顔が見えないことを 

 驚いて振り返れば
 これ以上ない
 綺麗な笑顔を送られる

 このまま
 このまま時が止まれば
 悔いはないのに


                        2007.12.10. 制作


 物語みたいになってしまいましたが…(苦笑
 こんな男性はいるのでしょうか…
 男みたいですが、一応私は女なので、男性の感情は難しいですね〜。
 こういう想像と言うのは、理想が入ってしまっているんだと思います。


                                                                      photograph by m-style