tabula rasa

 この感情(キモチ)
 “ふりだし”に戻ってしまえば良いのに

 急激に冷え込んだ朝
 白い息を吐き出しながら
 一気に赤く染まったもみじを見て
 思った
 いくら目に映る木の葉が色を変えても
 君を思うという言の葉は
 全く色を変えようとしない

 だからこんなに苦しくて
 だからこんなに切なくて

 それから逃げたいが為に
 外界から何の刺激も受けていない
 白紙(ふりだし)の状態に戻ってしまえと
 思った
 
 幸せであるが故の願いだとわかっていても
 物理的ではない痛み
 耐えられない

 もしも白紙(ふりだし)に戻って
 君と出会ったなら
 今以上に
 君の色に染まってしまうのかもしれない


                        2007.11.22. 制作


 あの紅葉は言葉が出ないほど素晴らしいものですよね。
 朝寒い思いをしていても、あのもみじを見れば少しは頑張れる気がします(少し?
 けれどなぜか、うちのもみじはあそこまで綺麗にならないと言う現実…(涙
 ちなみに、タブラ・ラサのことは全然わかりません。辞書で偶然見つけての乱用ですので…(謝
 あ、それと、本歌取りしています、これは。
  
  思ふてふ  言の葉のみや  秋をへて  色もかはらぬ  ものにはあるらむ (読み人知らず)
  (木の葉は秋には色が変わるけれど、[あなたを想うと言う]言の葉だけは色を変えることはないのだなあ)


                                                                      photograph by NOION