無言の抵抗
凍って張り詰めたその空間
まだ幼い少年が一人
座り込んでいる
今にも泣きだしそうに見える
少年の顔
それでも
彼の小さなプライドはそれを許さず
唇を噛み締めて
手の平に爪を立てて
ただただ耐える
出ていけば良いのに
彼はじっと座っている
その空間が
少しでも温かくなるのを
願っているかのように
じっと前を睨んで
じっと前を見据えて
その空間に張り巡らされた
氷の硝子が砕けることを
ただただ望む
凍えて感覚が麻痺しても
凍えて死んでしまっても…
この空間を温かくしてやる
昔々
そんな少年を
オレは知っていた
2007.10.16. 制作
強いのか弱いのか、どっちなのでしょう。
“オレ”は少年のことを強いと思っていると思いますが。
最近の子どもは我慢ができなくなっていると言いますが…
実際のところはどうなのでしょう。
photograph by FOG.